外国人人材の受入れ・雇用について学ぶ

特定技能外国人は転職可能?8つのポイントと企業はどうすべき?

Learning about accepting and employing foreign personnel

執筆者:事務局長:安松大輔

執筆者:執筆者:事務局長:安松大輔

人材紹介会社の社長を経験後、外国人人材の採用を支援する企業で勤務する、その後アジアネットワーク協同組合のに入り、事務局長に選任される、人材不足で困っている企業様のと日本で働きたいと思う外国人人材の懸け橋となれるように日々尽力している。さらに業界の情報の不透明さに疑問を感じ、アジアネットワーク協同組合では双方が不安にならない仕組みをつくるとし、WEBやSNSで外国人人材の採用に関して情報を届けることを重要視している。
目次
  1. >1・はじめに――特定技能の「転職」は制度として認められている
  2. >2・そもそも特定技能における「転職」とはどういう意味か
  3. >3・8つのポイント
  4. >4・なぜ転職が起きるのか――主な離職・転職理由を理解する
  5. >5・企業がすべき7つの定着対策
  6. >6・転職者を受け入れる側の企業への実務的なアドバイス
  7. >7・登録支援機関の活用について
  8. >8・まとめ

この記事でわかること

  • 特定技能外国人が転職できる仕組みと制度上の条件
  • 転職に関わる8つの重要ポイント
  • 転職が発生したときの旧会社・新会社それぞれの手続き
  • 定着率を高めるために企業が今すぐ取り組める対策

はじめに――特定技能の「転職」は制度として認められている

特定技能の在留資格を持つ外国人は、原則として転職が認められています。これは、技能実習制度では原則として転籍が制限されていたことと大きく異なる点であり、特定技能制度の特徴のひとつです。

一方で、受け入れ企業にとっては「受け入れたばかりなのに辞めてしまうかもしれない」という懸念を抱く場面も少なくありません。実際に出入国在留管理庁のデータ(2025年8月末時点)によると、特定技能1号外国人のうち転職経験がある方は全体の約22.4%にのぼります。また、転職経験者の大部分が3年以内に転職しているというデータもあり、定着率の確保が多くの受け入れ企業において共通の課題となっています。

しかし、転職の仕組みや条件・手続きをしっかり把握した上で、適切な受け入れ環境を整えることで、長期的な就労につなげることは十分に可能です。本記事では、特定技能外国人の転職に関する「8つのポイント」を軸に、企業がおさえるべき知識と取り組むべき対策を詳しく解説します。


そもそも特定技能における「転職」とはどういう意味か

日本では「転職」というと、会社を辞めて別の会社に入ることを指しますが、特定技能制度における転職は、これに加えて在留資格上の変更手続きが伴うという点で、日本人の転職とは大きく異なります。

特定技能外国人が持つ在留カードには「指定書」と呼ばれる書類が添付されており、そこには「就労できる企業名」「分野」「業務区分」が明記されています。つまり、指定書に書かれた以外の会社・分野・業務には従事できない仕組みになっています。

転職をするには、この指定書を書き換えるための在留資格変更許可申請が必要です。この申請は転職先の企業が協力して進める必要があるため、転職先企業の協力なしに転職はできません。そして申請が許可されるまでの間(通常1〜3ヶ月)は就労ができず、収入が途絶えるリスクも伴います。

このような構造から、特定技能の転職は「制度上は可能だが、実際には乗り越えるべきハードルが多い」というのが実態です。


8つのポイント

ポイント① 転職は制度上「権利」として認められている

特定技能外国人には、日本人労働者と同様に転職する権利があります。受け入れ企業が「転職させない」「辞めさせない」という強制はできません。これは特定技能制度の基本原則であり、適法な就労を通じて外国人材の権利を守るために設けられたルールです。

過去の技能実習制度では、職場変更(転籍)が原則として認められておらず、劣悪な職場環境でも逃げ出すことが難しいという構造的な問題が指摘されてきました。特定技能制度はその反省を踏まえ、外国人材が自らの意思でより良い就労先を選べる仕組みを取り入れています。

受け入れ企業としては、「転職の権利がある」という前提のもとで、外国人材に「この会社で長く働きたい」と思ってもらえる環境づくりに取り組むことが、制度の趣旨にも沿った正しいアプローチです。


ポイント② 転職できる範囲は「分野」と「業務区分」に制限がある

特定技能外国人は、どんな職種・業種にも転職できるわけではありません。転職先は、現在の在留資格で認められている「特定産業分野」の範囲内に限定されます。

**特定産業分野(12分野)**は以下のとおりです(2025年時点)。

No.分野
1介護
2ビルクリーニング
3素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
4建設
5造船・舶用工業
6自動車整備
7航空
8宿泊
9農業
10漁業
11飲食料品製造
12外食業

さらに、分野の中でも「業務区分」という細かい区分が設けられており、同じ分野内であっても業務区分が変わる場合は追加の試験合格が求められます。たとえば、製造業の「機械金属加工区分」で働いている方が、同じ製造業の「金属表面処理区分」に転職するケースでも、業務区分が異なれば要件が変わります。

異なる分野への転職を希望する場合は、転職先の分野に対応した技能試験に合格する必要があります。たとえば、外食業分野で働いていた方が宿泊分野へ転職するには、「宿泊業技能測定試験」への合格が必要です。試験の開催日程は限られているため、転職を検討する段階で余裕をもってスケジュールを確認することが重要です。


ポイント③ 同一分野・同一業務区分の転職は試験不要

前職と転職先の分野および業務区分が同じ場合は、技能試験を改めて受ける必要はありません。たとえば、ある農業法人から別の農業法人へ転職する場合、農業分野の技能試験は免除されます。

ただし、試験が免除であっても在留資格変更許可申請は必ず必要です。試験不要だからといって、手続きが省略されるわけではない点に注意が必要です。

この「同一分野・同一業務区分」の転職は、手続き的にはもっともシンプルなパターンです。企業としては、自社と同業・同業務から転職してきた方を採用する場合でも、適切な手続きを踏むことを前提に受け入れ計画を立てることが重要です。


ポイント④ 転職期間中は就労・アルバイトができない

特定技能外国人が転職する際、在留資格変更許可申請の承認が下りるまでの間は、新しい職場で働くことができません。また、指定書に定めのある活動以外は一切認められないため、アルバイトも不可です。

在留資格変更許可申請の標準処理期間は約2週間〜1ヶ月(場合によっては3ヶ月近くかかることもある)とされており、この間の収入は途絶えます。貯蓄が少ない外国人材にとっては、生活が困窮するリスクが生じます。

企業としては、転職を受け入れる際にこの「空白期間」の存在を前提とした計画が必要です。転職者の入社予定日と実際の就労開始日にずれが生じる可能性を考慮し、在留資格変更申請を早期に着手することが重要です。また、外国人材本人にも、転職活動の段階でこのリスクを十分に伝えることが、トラブル防止になります。


ポイント⑤ 旧受け入れ企業が行うべき手続き

特定技能外国人が退職・転職する場合、旧受け入れ企業(元の雇用先)にはいくつかの届出義務が生じます。届出を怠ると罰則の対象となる可能性があるため、確実に行うことが重要です。

旧受け入れ企業が行う主な届出

① 受入れ困難に係る届出 転職が決まり、雇用契約を終了することが確定した時点で、出入国在留管理庁に「受入れ困難に係る届出」を提出します。退職日が確定した段階でできるだけ早く行いましょう。

② 特定技能雇用契約に係る届出(契約終了) 雇用契約が終了したことを届け出ます。退職後14日以内の提出が求められます。届出書には、契約終了日・終了事由を記載し、外国人の現状の欄に「転職希望」とチェックを入れます。

③ 支援計画変更に係る届出 特定技能1号の外国人が転職する場合、1号特定技能外国人支援計画が変更になるため、支援計画変更に係る届出が必要です。

④ 支援委託契約に係る届出 登録支援機関と支援委託契約を締結していた場合、契約の解消が生じます。そのため、支援委託契約に係る届出を提出する必要があります。

⑤ ハローワークへの届出 外国人雇用状況の届出として、ハローワークへの届出も必要です。最寄りの公共職業安定所に提出します。

これらの届出は、出入国在留管理庁の電子届出システム、または管轄の出入国在留管理局窓口で提出できます。届出の遅延・漏れが外国人の在留資格に影響を与える可能性があるため、退職日が決まったら速やかに準備を始めましょう。


ポイント⑥ 新受け入れ企業が行うべき手続き

特定技能外国人の転職者を新たに受け入れる企業(新受け入れ企業)側にも、多くの手続きと義務が発生します。

新受け入れ企業が満たすべき要件

まず、自社の産業分野が特定産業分野に該当しているかを確認します。次に、転職してくる外国人が就労予定の業務区分に対応した技能試験に合格しているか(または同一分野・業務区分で試験免除となるか)を確認します。

協議会への加入 特定技能外国人を受け入れる企業は、対象分野の協議会へ加入する必要があります。2024年6月14日以降は、協議会加入が雇用の前提条件として強化されています。

在留資格変更許可申請 転職者本人が在留資格変更許可申請を行いますが、この申請には転職先企業が作成・提供する書類が多数含まれます。申請書類の準備において企業の協力が不可欠であり、実務上は企業(または委任を受けた行政書士)が申請手続きを主導するケースがほとんどです。

主な必要書類は以下のとおりです(分野によって異なる場合があります)。

  • 在留資格変更許可申請書
  • 特定技能雇用契約書のコピー
  • 特定技能外国人の報酬に関する説明書
  • 支援計画書(1号の場合)
  • 登録支援機関との支援委託契約書(支援を委託する場合)
  • 受け入れ機関(企業)の概要を示す書類
  • 外国人本人のパスポートコピー・在留カードコピー など

事前ガイダンスと生活オリエンテーションの実施 特定技能外国人の転職者を受け入れる際は、事前ガイダンスおよび生活オリエンテーションの実施が義務です。業務内容・労働条件・社内ルール・生活に必要な情報などを丁寧に説明します。転職者は既に日本で生活した経験がありますが、新しい職場環境への適応を支援するために、この機会を活用することが重要です。


ポイント⑦ 在留期間の残り日数に注意が必要

転職を受け入れる際に忘れてはならないのが、外国人本人の在留期間の残り日数です。特定技能1号の在留期間は通算5年が上限で、在留カードには「1年」「6ヶ月」「4ヶ月」のいずれかの有効期限が記載されており、定期的な更新が必要です。

もし在留期間の残りが短い状態で転職した場合、転職先での在留資格変更申請と更新申請が重なり、手続きが複雑になることがあります。また、在留期間の残日数が少ない状態では、申請が間に合わなくなるリスクもあります。

受け入れ企業としては、採用時に在留カードの有効期限を確認し、残り期間が短い場合は速やかに手続きを進める計画を立てることが必要です。また、転職先での就労が長期になるほど、在留資格変更申請の際に「在留期間の残り」が審査に影響を与える場合もあります。専門家(行政書士など)と相談しながら進めることをお勧めします。


ポイント⑧ 転職と在留資格の関係――「短期転職」は在留に影響する可能性がある

在籍期間が非常に短い状態での転職を繰り返す場合、次回の在留資格更新時の審査に影響する可能性があります。出入国在留管理庁は、特定技能外国人の在留状況を総合的に判断するため、短期での転職歴は「安定した就労」という点で不利に働く場合があります。

このことは、外国人材本人にとっても重要な情報です。企業としては、採用面談の段階で転職にまつわるリスクを丁寧に説明し、双方が長期的な就労を見据えて関係を築いていく姿勢が大切です。

また、企業にとっても、採用後わずかな期間で転職されることは、採用・手続きにかけたコストが無駄になるという実務的なリスクがあります。「採用後の定着」を初期から意識した受け入れ体制を整えることが、双方にとってのメリットにつながります。


なぜ転職が起きるのか――主な離職・転職理由を理解する

外国人材が転職を選ぶ理由を正確に把握することは、定着率向上のための対策を考える上で欠かせません。現場での事例や調査データが示す主な転職理由は以下のとおりです。

① 賃金・待遇への不満

外国人材は賃金や待遇面に対して敏感な傾向があります。他社や知人の話を聞いて「自分の賃金は低いのではないか」と感じた場合、転職の動機となりやすいです。また、残業代や各種手当の計算が不透明だったり、昇給の見込みが見えなかったりすることも不満につながります。

特定技能外国人には、同等業務に従事する日本人労働者と同等以上の報酬を支払う義務があります。これは法令上の要件ですが、単に法令をクリアするだけでなく、本人が「適正に評価されている」と感じられる透明な賃金体系・評価制度を整えることが重要です。

② 職場での人間関係

職場の人間関係のトラブルは、転職を引き起こす大きな要因のひとつです。言語の壁から生じるコミュニケーション不足、日本人社員との距離感、孤立感などが積み重なると、「この職場では働き続けられない」という判断につながります。

外国人材を「職場の一員」として迎え入れ、日本人社員との交流機会や、困ったことを相談できる環境を整備することが、人間関係起因の離職防止に直結します。

③ 仕事内容・環境のミスマッチ

「事前に聞いていた仕事と実際の仕事が違う」「労働環境が思っていたより厳しい」といったミスマッチも転職理由として挙がります。採用段階での説明が不十分だったり、あいまいな情報しか提供されていなかったりすると、入社後のギャップが大きくなります。

特に製造業や介護業では、体力的な負担や業務のきつさに対するギャップが離職要因として表れやすいとされています。

④ キャリアアップ・待遇改善を求めて

特定技能外国人の転職理由として「より良い条件を求めて」という積極的な動機も増えています。特定技能1号の在留期間は最長5年であり、その間により高い給与・より良い職場環境・キャリアアップの機会を求めて動くことは自然な行動です。

このような「前向きな転職」を防ぐためには、自社内でのキャリアパスを明示し、評価・昇給の機会を具体的に示すことが効果的です。

⑤ 大都市圏への転職志向

出入国在留管理庁のデータによると、転職者の66.0%が都道府県をまたいで転職しており、転入超過となっているのは東京・神奈川・千葉・埼玉・愛知・大阪・京都・兵庫などの大都市圏です。地方に拠点を置く企業にとっては、大都市圏への転出という流れへの対応も課題のひとつとなっています。


企業がすべき7つの定着対策

転職が起きる理由を踏まえ、受け入れ企業として実践できる定着率向上の対策を具体的に解説します。

対策① 採用段階での丁寧な情報提供・ミスマッチ防止

転職・離職の最も根本的な原因は「入社前の期待と入社後の現実のギャップ」です。採用面談や事前ガイダンスの段階で、業務内容・労働時間・給与体系・職場環境・生活に関する情報を誠実かつ具体的に伝えることが最初の対策です。

特に以下の点は明確に共有することが推奨されます。

  • 実際の業務内容(体験できるなら職場見学も有効)
  • 給与・残業代・各種手当の計算方法
  • 昇給の仕組みと目安
  • 寮・住居の条件
  • 職場での使用言語・コミュニケーション環境

採用時に正確な情報を伝えることは、外国人材本人が自分の意思で「この会社で働く」と決断することにつながり、入社後の定着率を高める基礎となります。

対策② 適正な賃金・評価制度の整備

特定技能外国人には、同等業務に従事する日本人と同等以上の賃金を支払う義務があります(法令上の要件)。この原則を守った上で、さらに「評価が見える」制度を整えることが重要です。

具体的には、定期的な評価面談の実施、昇給・昇格の基準の明示、賞与制度がある場合はその仕組みの説明などが有効です。「頑張れば認められる」と実感できる環境を作ることが、長期就労のモチベーションにつながります。

対策③ 相談しやすい環境・窓口の整備

外国人材が困ったことや悩みを相談できる窓口を設けることは、離職防止に大きく貢献します。母国語で相談できる担当者がいる場合は理想的ですが、難しい場合は翻訳ツールや多言語対応の外部機関(登録支援機関など)を活用する方法もあります。

「相談したいが、誰に言えばいいかわからない」という状況を放置すると、不満が積み重なり突然の離職につながります。定期的な個別面談(月1回程度)を制度として設けることが効果的です。

対策④ 職場への帰属意識を高める取り組み

外国人材が「この職場の一員だ」と感じられるかどうかは、長期就労を左右する重要な要素です。社内イベントや研修への参加促進、日本人社員との交流機会の創出など、「人として大切にされている」と感じられる日常的な関わりが重要です。

業務の割り当てや評価においては、国籍に関係なく公平な扱いを心がけましょう。外国人だからといって単純業務だけを担当させたり、社内イベントへの参加機会が少なかったりすることは、孤立感を生みます。

対策⑤ キャリアパスの明示

特定技能2号への移行を視野に入れたキャリアパスを提示することは、外国人材の長期就労意欲を高める上で効果的です。「この会社にいれば将来はこうなれる」というビジョンを具体的に示すことで、「もっと良い条件の会社に移ろう」という転職動機を抑制できます。

特定技能2号は在留期間の上限がなく、家族帯同も可能になる(分野による)ため、長期的に日本で働き・生活するための重要なステップです。1号在留中から2号取得に向けたスキルアップ支援(社内訓練・外部研修など)を行うことは、外国人材と企業双方にとってメリットがあります。

対策⑥ 生活支援の充実

仕事環境だけでなく、日本での生活全般をサポートする体制が整っているかどうかも、定着率に影響します。特に来日直後は、住居・行政手続き・医療・日常生活のルール(ゴミ出しなど)について戸惑う場面が多いため、手厚いサポートが求められます。

生活支援は特定技能1号外国人を受け入れる企業の義務として法令で定められている部分もありますが、義務の範囲を超えた手厚い対応が、外国人材の「この会社に来てよかった」という気持ちにつながります。

登録支援機関を活用することで、専門的な生活支援を委託することもできます。自社でのサポートが難しい場合は、信頼できる登録支援機関との連携を検討しましょう。

対策⑦ 退職・転職の申し出があったときの誠実な対応

外国人材から転職の意思を告げられた際、感情的な反応や強制的な引き止め方は逆効果です。理由を丁寧にヒアリングし、もし職場改善で解決できる問題であれば具体的な対応策を伝えることが有効です。

一方で、本人の意思が固い場合は、円満に退職手続きを進めることが大切です。退職後も適切な手続きを速やかに行い、在留資格に影響が出ないよう配慮することは、外国人材への誠実な対応として重要です。退職後の評判や口コミは、次の採用活動にも影響します。

また、退職理由の聞き取りを通じて得た情報は、職場改善のための貴重なデータとして活用しましょう。なぜ転職を選んだのかを分析することで、同様の離職を防ぐための対策立案に活かすことができます。


転職者を受け入れる側の企業への実務的なアドバイス

特定技能外国人の転職者を新たに採用する企業にとっても、通常の採用と異なる点がいくつかあります。

メリット

  • すでに日本での生活・就労経験がある
  • 日本語能力が一定程度身についている場合が多い
  • 特定産業分野の実務経験者であるため即戦力になりやすい

注意点

  • 在留資格変更申請が承認されるまで就労開始できない
  • 在留期間の残日数が短い場合、早急な手続きが必要
  • 前職での習慣・業務スタイルとのギャップ調整が必要な場合がある
  • 海外から直接採用した場合に比べ、定着率が低くなる傾向があるとするデータもある

転職者の採用に際しては、早い段階で在留カードと在留期間を確認し、在留資格変更申請をできるだけ早く着手することが、就労開始の遅延リスクを最小化する上で重要です。


登録支援機関の活用について

特定技能1号外国人を受け入れる企業は、法令上の支援義務を果たすために、登録支援機関に支援業務を委託することができます。

転職が発生した場合の手続き対応(旧企業側・新企業側のいずれも)、転職先での新たな支援計画の策定、生活支援・相談対応など、転職に関わる一連のプロセスをサポートしてもらえるため、専門的な知識がない企業でも安心して対応できます。

転職者を受け入れる際に登録支援機関が変更となる場合は、変更届の提出と新たな支援計画の作成が必要です。旧支援機関との連絡を怠らず、支援内容の引き継ぎが不十分にならないよう注意が必要です。書類の不備や提出漏れは申請の遅延を招くため、行政書士など専門家のサポートを得ながら進めることを強くお勧めします。


まとめ

特定技能外国人の転職について、制度の仕組みから実務的な手続き、定着対策まで詳しく解説しました。最後に、本記事の要点を整理します。

転職に関する8つのポイント(おさらい)

ポイント内容
転職は制度上の権利として認められている
転職できる範囲は「分野」と「業務区分」に限られる
同一分野・同一業務区分なら技能試験は不要(申請は必要)
転職期間中は就労・アルバイト不可(収入ゼロのリスク)
旧受け入れ企業には複数の届出義務がある
新受け入れ企業も要件確認・申請・支援義務がある
在留期間の残日数の確認が転職受け入れ時の必須事項
短期転職の繰り返しは在留資格更新に影響する可能性がある

転職は特定技能外国人に認められた権利ですが、その手続きは複雑で、関係者全員への影響も大きいものです。受け入れ企業として最も重要なのは、「転職が起きてから対応する」ではなく、「転職が起きないよう職場環境を整える」という視点で継続的に取り組むことです。

適正な賃金・公平な評価・相談できる環境・キャリアパスの明示・生活支援の充実——これらを地道に積み重ねることが、外国人材が「この会社で長く働きたい」と思える職場づくりにつながります。

制度的な手続きに不安がある場合は、行政書士や登録支援機関など専門家への相談を積極的に活用してください。正確な情報と適切なサポートのもとで進めることが、外国人材との長期的な信頼関係の基盤となります。


【免責事項】 本記事は、執筆時点(2025〜2026年)の情報をもとに作成しています。在留資格制度・届出要件・手続き内容は随時変更される場合があります。最新の情報は出入国在留管理庁(https://www.moj.go.jp/isa/)にてご確認ください。また、個別のケースへの対応については、行政書士・社会保険労務士など専門家へのご相談をお勧めします。


参考:出入国在留管理庁「特定技能制度運用状況」「第10回特定技能制度及び育成就労制度の基本方針及び分野別運用方針に関する有識者会議」、厚生労働省、JITCO等

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