技能実習制度の養殖業に関するご説明ページ
About accepting technical intern trainees in aquaculture

魚や貝、海藻などを育てて出荷している事業者の中には、外国人技能実習生の受け入れを検討している方もいると思います。
技能実習制度では、水産分野の中に「養殖業」という職種があります。
養殖業とは、魚・貝・えび・かに・海藻などを、人の管理のもとで育て、収穫し、出荷する仕事です。天然の魚を船で獲る漁船漁業とは違い、いけす、養殖池、陸上施設、海面の養殖棚などを使って、計画的に水産物を育てる仕事になります。
この記事では、技能実習の「養殖業」について、どんな事業者が対象になるのか、実習生に任せられる仕事内容、受け入れ時の条件や注意点を、初心者にもわかりやすく解説します。

養殖業は、水産物を「育てる漁業」です。
たとえば、次のような事業が当てはまります。
・ぶり、たい、まぐろ、ひらめ、ふぐなどの魚類養殖
・ほたて、かき、真珠貝などの貝類養殖
・のり、わかめ、こんぶなどの海藻養殖
・えび、かになどの甲殻類養殖
・陸上施設で行う魚介類の養殖
一般的な漁業は、海に出て魚を獲る仕事です。一方、養殖業は、魚や貝、海藻を育てる環境を整え、成長を管理し、出荷できる状態まで育てていく仕事です。
そのため、単に体力があればよい仕事ではありません。えさの量、水温、水質、病気の有無、成長具合、出荷時期などを見ながら、毎日の管理を続けることが大切です。
養殖業の技能実習では、養殖している水産物の種類によって仕事内容が変わります。
ただし、基本になる仕事は共通しています。
主な仕事内容は次のとおりです。
・えさやり
・水温や水質の確認
・魚や貝、海藻の成長確認
・病気や異常のチェック
・いけす、網、棚、ロープなどの点検
・収穫作業
・選別、洗浄、箱詰め
・出荷準備
・作業場や資材の清掃、整理
実習生には、最初から難しい判断を任せるのではなく、日々の管理作業から少しずつ覚えてもらう形が基本です。
たとえば、えさやりひとつをとっても、魚の種類、成長段階、水温、天候によって量やタイミングが変わります。こうした判断は、経験のある指導員が説明しながら教えていく必要があります。
魚類養殖では、ぶり、たい、まぐろ、ひらめ、ふぐなどを育てます。
海面のいけすで育てる場合もあれば、陸上の水槽で育てる場合もあります。
主な作業は、えさやり、成長確認、水質管理、いけすや網の点検、魚の移動、収穫、選別、出荷準備などです。
魚類養殖で特に大切なのは、毎日の観察です。
魚の泳ぎ方、えさの食べ方、群れの動き、水のにごり、死魚の有無などから、異常を早めに見つける必要があります。
実習生に教えるときは、「えさをまく作業」だけでなく、「なぜ今日はこの量なのか」「どんな状態なら異常なのか」まで伝えると、作業の理解が深まります。
貝類養殖では、かき、ほたて、真珠貝などを育てます。
海中のロープやかご、養殖棚などを使って育てることが多く、地域によって作業方法が大きく違います。
主な作業は、採苗、貝の付着管理、かごやロープの管理、成長確認、付着物の除去、収穫、洗浄、選別、出荷準備などです。
貝類養殖では、重いかごやロープを扱う場面もあります。腰や手首への負担が大きくなりやすいため、持ち方、運び方、無理をしない作業姿勢を教えることが大切です。
また、海上や岸壁での作業がある場合は、転落防止や救命胴衣の着用など、安全管理を徹底する必要があります。
海藻養殖では、のり、わかめ、こんぶなどを育てます。
海に張った網やロープに海藻を育て、成長に合わせて管理し、収穫して加工・出荷につなげます。
主な作業は、種付け、網やロープの設置、育成管理、収穫、洗浄、選別、乾燥や加工補助、出荷準備などです。
海藻養殖は、収穫時期に作業が集中しやすいのが特徴です。繁忙期には朝が早くなったり、天候や潮の状況に合わせて作業時間が変わったりすることもあります。
そのため、労働時間、休憩、休日の管理をあいまいにしないことが重要です。忙しい時期ほど、記録を残し、無理な働き方にならないように注意しましょう。
養殖業は、陸上作業だけでなく、海上、岸壁、いけす周辺、作業船、加工場など、さまざまな場所で作業します。
そのため、安全教育は非常に重要です。
特に注意したいのは、次のような点です。
・海や岸壁への転落
・船上や足場での転倒
・ロープ、網、機械への巻き込まれ
・重い資材を持つことによる腰痛
・刃物や工具によるけが
・低温、高温、強風、雨天時の作業
・薬剤や消毒剤の取り扱い
・夜間や早朝作業時の視界不良
技能実習生は、日本語で危険をすぐに理解できない場合があります。
そのため、口頭説明だけでは不十分です。写真、動画、母国語の説明資料、作業前の実演を使い、危険な場所、禁止行為、緊急時の対応を具体的に教えることが大切です。
養殖業で技能実習生を受け入れるには、実習生に仕事を教え、生活面も支えられる体制が必要です。
主に必要になるのは、次の3つの役割です。
技能実習全体を管理する人です。実習計画の進み具合、監理団体との連絡、法令遵守、実習生の状況確認などを行います。
実習生に直接仕事を教える人です。養殖の現場経験があり、作業手順や安全管理を説明できる人が必要です。
実習生の生活面を支える人です。住まい、買い物、病院、交通、地域での生活ルールなどをサポートします。
養殖業では、漁港や海沿いの地域で働くことも多く、住まいや交通手段の確保が課題になることがあります。受け入れ前に、通勤方法、買い物、病院、災害時の避難場所まで確認しておくと安心です。
養殖業は、天候、潮、海の状態、出荷時期によって作業時間が変わりやすい仕事です。
しかし、忙しい時期であっても、技能実習生は労働者です。労働時間、休日、休憩、残業代、安全衛生などのルールを守る必要があります。
特に養殖業では、労働時間・休日・休憩などの待遇について、養殖業に関する基準に沿った対応が求められます。
「漁業だから仕方ない」「昔からこのやり方だから」という感覚で運用してしまうと、あとから問題になる可能性があります。
作業日報、出勤簿、残業時間、休日の記録は、必ず残すようにしましょう。
養殖業で技能実習生を何人まで受け入れられるかは、実習実施者が法人か個人か、団体監理型か企業単独型か、優良要件を満たしているかなどによって変わります。
個人事業主など一部のケースでは、養殖業独自の人数上限が定められています。
一方、法人などの場合は、原則的な技能実習の人数枠が適用されます。
そのため、単純に「何人まで受け入れられる」と決めつけるのではなく、自社の形態を監理団体に伝えたうえで確認することが大切です。
確認するときは、次の情報を整理しておくとスムーズです。
・法人か個人事業主か
・常勤職員数
・受け入れたい人数
・第3号まで考えているか
・監理団体が一般監理事業に対応しているか
・優良要件に該当するか
長く受け入れたい場合は、人数枠だけでなく、3号まで進める体制があるかも確認しておきましょう。
養殖業は、条件を満たせば第3号技能実習まで進めることができます。
第1号技能実習は1年目、第2号技能実習は2〜3年目、第3号技能実習は4〜5年目にあたります。
つまり、実習生本人が試験に合格し、受け入れ側や監理団体の要件も満たしていれば、最長5年間の受け入れが可能です。
ただし、第3号まで進めるには、監理団体が一般監理事業の許可を持っていることが重要です。
特定監理事業のみの監理団体では、第3号まで対応できない場合があります。最初から長期的な受け入れを考えている場合は、契約前に必ず確認してください。
養殖業で技能実習を良好に修了した場合、特定技能「漁業」への移行を検討できます。
特定技能へ移行できれば、技能実習よりも長く働いてもらえる可能性があります。
ただし、特定技能では、在留資格、業務内容、支援体制、雇用条件など、技能実習とは別の確認が必要です。
「技能実習で3年または5年働いて終わり」と考えるのではなく、優秀な人材には、特定技能への移行も見据えて育成していくとよいでしょう。
技能実習制度は、2027年4月1日から育成就労制度へ切り替わる予定です。
ただし、施行日前から技能実習計画の認定や申請が進んでいる場合には、経過措置の対象になる可能性があります。
そのため、2026年以降に養殖業で受け入れを考える場合は、次の点を確認しておきましょう。
・現行の技能実習制度で受け入れるのか
・育成就労制度での受け入れを見据えるのか
・監理団体が育成就労制度に対応する予定か
・すでに受け入れている実習生の移行に影響があるか
育成就労制度については、制度開始前後で運用が変わる可能性があります。最新情報は、外国人技能実習機構、出入国在留管理庁、厚生労働省、水産庁などの公式情報を確認してください。

漁船漁業は、船に乗って魚を獲る仕事です。養殖業は、魚・貝・海藻などを育てて出荷する仕事です。仕事内容も安全管理も異なるため、技能実習では別の職種として考える必要があります。
魚類、貝類、海藻類、えび・かに類など、人工的に育てて出荷する水産物が対象になります。具体的な作業内容は、養殖している種類や地域によって異なります。
出荷作業だけを中心にするのは避けるべきです。技能実習は、養殖に関する技能を学ぶための制度です。えさやり、育成管理、施設管理、収穫、出荷準備などをバランスよく経験できる計画にする必要があります。
養殖業の作業として必要な範囲であれば、海上やいけす周辺の作業を行うことはあります。ただし、転落防止、救命胴衣、作業手順、緊急時対応など、安全教育を徹底する必要があります。
労働関係法令を守ったうえで、必要な手続きや割増賃金の支払いを行えば可能です。ただし、長時間労働が常態化しないよう、労働時間の記録と休憩・休日の管理が重要です。
条件を満たせば第3号技能実習まで進めることができます。第3号まで考える場合は、実習生本人の試験合格だけでなく、受け入れ側の体制や監理団体の許可種別も確認しましょう。
監理団体の選定、技能実習責任者・指導員・生活指導員の選任、作業内容の整理、住居の準備、安全教育資料の整備、労働条件の確認が主な準備になります。養殖業では、海上作業や早朝作業もあるため、安全面と労働時間管理を特に重視しましょう。

技能実習の養殖業は、魚・貝・海藻などを育てて出荷する仕事です。
漁船に乗って魚を獲る漁船漁業とは違い、いけす、養殖棚、陸上水槽、作業場などで、育成管理、収穫、選別、出荷準備を行います。
養殖業で受け入れるときに大切なのは、次の3つです。
・養殖している水産物に合った実習計画を作ること
・海上作業や重量物作業を想定した安全教育を行うこと
・労働時間、休日、休憩、人数枠などのルールを守ること
養殖業は、地域や水産物によって仕事内容が大きく変わる分野です。
そのため、受け入れを検討するときは、「養殖業なら何でも同じ」と考えるのではなく、自社の作業内容を整理したうえで、監理団体と一緒に実習計画を作ることが重要です。
2027年4月からは育成就労制度への切り替えも予定されています。これから受け入れを考える事業者は、現行制度での受け入れだけでなく、制度変更後の対応も早めに確認しておきましょう。
参考情報:外国人技能実習機構、厚生労働省、出入国在留管理庁、水産庁、JITCO等の公表情報をもとに作成。