技能実習制度の型枠施工に関するご説明ページ
Formwork construction
コンクリート造の建物やマンション、橋やダムといった土木構造物を手がける建設会社の中には、「型枠施工」の技能実習生受け入れを検討し始めた方もいるのではないでしょうか。
型枠施工は、技能実習制度の中で建設関係の職種のひとつに位置づけられています。コンクリートを流し込む「型」をつくる仕事で、この型の精度がそのまま建物の仕上がりを決めるといっても過言ではない、地味に見えて実は非常に重要な工程です。
本記事では、型枠施工の技能実習について、仕事の内容、受け入れ時に押さえるべきポイント、注意点を、初めて外国人材の受け入れを検討する企業様に向けてまとめました。
※技能実習制度は今後見直される可能性があります。本記事は2026年時点の情報に基づいており、実際の受け入れ判断にあたっては監理団体や外国人技能実習機構の最新情報を必ずご確認ください。
コンクリートは液体に近い状態で流し込み、固まって初めて形になります。そのため、流し込む前に「型」を組んでおく必要があります。この型を作る作業が型枠施工です。
具体的には、次のような場面で使われます。
・マンションやビルの柱、梁、壁、床
・戸建て住宅の基礎
・橋脚やトンネルなどの土木構造物
・ダムや擁壁などの大型コンクリート構造物
型枠がゆがんでいたり、隙間があったりすると、コンクリートが漏れたり、完成後の建物の寸法が狂ったりします。つまり型枠施工の精度が、建物や構造物そのものの品質に直結する仕事なのです。
型枠施工は、大きく分けると「組む→固定する→コンクリートを流し込む→外す」という流れで進みます。実習生に任せる仕事も、基本的にはこの流れに沿ったものになります。
最初のうちは、パネルの運搬や仮組みなど、体力を使う補助的な作業から始めることが一般的です。型枠の位置を正確に決める「墨出し」や、支保工の強度計算が絡む組み方などは、経験を積んでから任せる企業が多いようです。
コンクリートは一度流し込んでしまうとやり直しがききません。だからこそ、「なぜこの位置に補強を入れるのか」「どのくらいの強度が必要なのか」を、作業と一緒に理由も伝えていくことが、実習生の技能習得につながります。
型枠施工の現場では、次のようなリスクに特に注意が必要です。
| リスク | 想定される場面 |
|---|---|
| 墜落・転落 | 高所での型枠組み立て、支保工の上での作業 |
| 型枠・資材の倒壊 | 固定不十分な型枠、強風時の作業 |
| 打撲・切創 | 釘、金物、木材の端部などによるけが |
| 腰痛 | 重いパネルや資材の運搬 |
| 熱中症 | 夏場の屋外・高所作業 |
型枠施工は、他の職種以上に「重い物を高い場所で扱う」場面が多い仕事です。母国語の資料や動画、実演を使って、危険な作業・禁止行為・緊急時の対応を具体的に伝えることが欠かせません。
技能実習生を受け入れるには、次の3つの役割を社内で決めておく必要があります。
型枠施工は現場が日々変わる仕事のため、指導員が現場に同行しながら都度指導できる体制になっているかどうかも、受け入れ前に確認しておきたいポイントです。
型枠施工は、天候(特に雨)に作業が左右されやすい職種です。雨で作業が止まった分を晴れの日に取り戻そうとして、労働時間の管理があいまいになるケースが見られます。
技能実習生であっても労働基準法などの労働関係法令は等しく適用されます。作業日報や出勤簿をきちんと残し、残業が発生した場合は割増賃金の支払いなど、必要な手続きを踏むようにしましょう。
受け入れ可能な人数は、常勤職員数、団体監理型か企業単独型か、優良な実習実施者としての要件を満たしているかなどによって変わります。
「型枠施工なら何人まで」という一律の答えはないため、下記を整理したうえで監理団体に確認するのが確実です。
・自社の常勤職員数
・受け入れ希望人数
・監理団体が一般監理事業に対応しているか
・優良要件への該当状況
型枠施工にも制度上は第3号技能実習(4〜5年目)が設けられています。
ただし2027年4月1日から育成就労制度への切り替えが決まっているため、これから新規に受け入れを始める場合、3号に到達する前に制度そのものが変わる可能性が高い点は理解しておく必要があります。
「5年間受け入れられる」という前提で採用計画を立てるより、育成就労制度への移行を見据えたうえで、監理団体(監理支援機関)とスケジュールを相談する方が現実的です。
技能実習制度は2027年4月1日に育成就労制度へ切り替わります。ただし、施行日前から計画認定の申請が進んでいる場合には、一定の経過措置が設けられる予定です。
2026年以降に型枠施工での受け入れを検討する場合は、以下を確認しておくとよいでしょう。
・現行制度と育成就労制度、どちらでの受け入れになるのか
・監理団体が育成就労制度への対応を予定しているか
・すでに受け入れている実習生がいる場合、移行への影響はあるか
制度の細部は今後も省令等で決まっていく段階のため、出入国在留管理庁や外国人技能実習機構などの公式発表を継続してチェックすることをおすすめします。
Q. 型枠施工と鉄筋施工はどう違う?
鉄筋施工はコンクリートの中に入る鉄筋を組む仕事、型枠施工はコンクリートを流し込む型を組む仕事です。現場では連携して作業しますが、技能実習では別の職種として扱われます。
Q. 実習生に高所作業をさせても大丈夫?
必要な範囲であれば問題ありませんが、墜落防止措置や安全帯の使用、事前の作業手順の説明を徹底する必要があります。
Q. 型枠の解体(脱型)作業も経験させるべき?
組み立てだけでなく解体も含めて経験させることが望ましいとされています。一連の工程を通じて技能を身につけるのが技能実習の趣旨だからです。
Q. 雨で作業がなかった日の分を後日まとめて働かせてもいい?
労働関係法令の範囲内であれば可能ですが、長時間労働が常態化しないよう、労働時間の記録・管理は徹底してください。
Q. これから受け入れても5年間の受け入れは期待できる?
制度上は可能ですが、2027年4月の制度切り替えにより、新規受け入れの場合は実質的に難しくなる可能性があります。監理団体に最新の見通しを確認しましょう。
型枠施工は、コンクリート構造物の品質を土台から支える、地味だけれど欠かせない仕事です。
パネルの組み立てから固定、コンクリート打設後の解体まで、精度と安全管理の両方が求められます。
受け入れを検討する際に大切なのは以下の3点です。
技能実習制度は2027年4月に育成就労制度へ切り替わる予定であり、今後もルールが変わる可能性があります。本記事の内容を鵜呑みにせず、必ず監理団体や公的機関の最新情報を確認したうえで計画を立てることをおすすめします。
参考情報:外国人技能実習機構、厚生労働省、出入国在留管理庁等の公表情報をもとに作成。