技能実習制度の林業に関するご説明ページ
Forestry
山林の管理や木材の生産を行っている事業者の中には、「うちも技能実習生を受け入れられるのか」と気になっている方もいるはずです。
林業は、技能実習制度の中では比較的新しい職種です。2024年9月30日の制度改正で新たに移行対象職種に追加され、作業区分は「育林・素材生産作業」の1つとなっています。
この記事では、技能実習の「林業」について、どんな事業者が対象になるのか、実習生に任せられる仕事内容、受け入れ時の条件や注意点を、初心者にもわかりやすく解説します。
なお、技能実習制度に関するルールは今後も見直される可能性があります。本記事は2026年時点の情報をもとに作成していますので、実際の受け入れにあたっては、必ず監理団体や外国人技能実習機構などの最新情報をご確認ください。
林業の技能実習で対象になるのは、「育林・素材生産作業」です。
具体的には、次のような作業が含まれます。
・山林の種苗の植付
・地拵え(伐採前の準備作業)
・下刈りなど、健全な育成のための手入れ
・伐木(木を切る作業)
・造材(切った木を利用しやすい形に加工する作業)
刈払機やチェーンソーといった刃物系の機械を使う作業が中心で、山の斜面など足場の悪い環境での作業も多くなります。
木は一本一本、生育状態や周囲の環境が異なります。そのため、単に機械が使えればよい仕事ではなく、木の状態や地形を見極めながら安全に作業を進める判断力を、時間をかけて身につけていく必要がある仕事です。
なお、林業には次のような特有の事業所要件があります。
・林業労働力の確保の促進に関する法律第5条の認定を受けている者、または森林経営管理法第36条に基づく民間事業者であること
・受け入れ人数枠として、技能実習生の総数が常勤の職員の総数を超えないこと
林業の技能実習では、育林(木を育てる工程)と素材生産(木を切って出荷する工程)の両方を経験することが基本になります。
主な仕事内容は次のとおりです。
・種苗の植付
・下刈り、除伐(不要な木の伐採)
・刈払機・チェーンソーを使った作業
・伐木、造材
・木材の集材、運搬
・林道・作業道の維持管理の補助
実習生には、最初からチェーンソーでの伐木作業を任せるのではなく、下刈りや種苗の植付など、比較的リスクの低い作業から少しずつ経験を積んでもらう形が基本です。
たとえば伐木ひとつをとっても、木の傾き、周囲の木との距離、風の状況によって、切る方向や手順が変わります。こうした判断は、経験のある指導員が説明しながら教えていく必要があります。
林業は、他の技能実習職種と比べても、労働災害のリスクが高い分野として知られています。
そのため、安全教育は非常に重要です。
特に注意したいのは、次のような点です。
・チェーンソーの取り扱いによる切創事故
・伐木時の木の下敷き、はさまれ事故
・斜面での転倒・滑落
・伐採した木の転がり・落下による事故
・刈払機の刃による負傷
・熱中症、虫刺され、獣(ハチ・マムシ等)への対応
技能実習生は、日本語で危険をすぐに理解できない場合があります。
そのため、口頭説明だけでは不十分です。写真、動画、母国語の説明資料、作業前の実演を使い、危険な場所、禁止行為、緊急時の対応を具体的に教えることが大切です。労働安全衛生法に基づく安全教育も必須とされています。
林業で技能実習生を受け入れるには、実習生に仕事を教え、生活面も支えられる体制が必要です。
主に必要になるのは、次の3つの役割です。
①技能実習責任者
技能実習全体を管理する人です。実習計画の進み具合、監理団体との連絡、法令遵守、実習生の状況確認などを行います。
②技能実習指導員
実習生に直接仕事を教える人です。林業の実務経験があり、作業手順や安全管理を説明できる人が必要です。
③生活指導員
実習生の生活面を支える人です。住まい、買い物、病院、交通、地域での生活ルールなどをサポートします。
林業は、天候や季節によって作業内容・作業量が変わりやすい仕事です。
しかし、忙しい時期であっても、技能実習生は労働者です。労働時間、休日、休憩、残業代、安全衛生などのルールを守る必要があります。
作業日報、出勤簿、残業時間、休日の記録は、必ず残すようにしましょう。
林業で技能実習生を何人まで受け入れられるかは、実習実施者の常勤職員数、団体監理型か企業単独型か、優良要件を満たしているかなどによって変わります。加えて、林業特有の要件(技能実習生数が常勤職員数を超えないこと)も確認が必要です。
林業(育林・素材生産作業)は、条件を満たせば第3号技能実習(4〜5年目)まで進める職種として位置づけられています。
ただし、2027年4月1日に技能実習制度から育成就労制度へ切り替わることが決まっています。
これから新規に技能実習生を受け入れる場合、1号(1年目)→2号(2〜3年目)→3号(4〜5年目)と進める前に制度が切り替わる可能性が高く、3号まで到達できるのは、実質的にすでに実習を始めている一部の人に限られると考えたほうが安全です。
なお、林業分野は特定技能制度にも対応しているため、育成就労制度への移行後も、分野として継続していく可能性が高いと考えられます。
技能実習制度は、2027年4月1日から育成就労制度へ切り替わる予定です。
制度の詳細は今後も主務省令などで随時決まっていく部分があります。最新情報は、出入国在留管理庁、外国人技能実習機構、林野庁などの公式情報を必ず確認してください。
Q. 林業はいつから技能実習の対象になりましたか?
2024年9月30日の制度改正で、育林・素材生産作業が移行対象職種に追加されました。比較的新しい職種です。
Q. チェーンソーの使用に資格は必要ですか?
はい。使用する機械によっては、特別教育の受講が必要です。実習生に使用させる場合は必ず確認してください。
Q. これから受け入れても第3号まで進められますか?
制度上は可能ですが、2027年4月の育成就労制度への切り替えにより、新規受け入れの場合は3号に到達する前に制度が変わる可能性が高い点に注意が必要です。
技能実習の林業は、山林の育成から木材の生産までを担う、比較的新しく追加された職種です。
チェーンソーや刈払機を使う作業が中心で、斜面での作業も多いため、他の職種以上に安全管理が重要になります。
参考情報:外国人技能実習機構、厚生労働省、出入国在留管理庁、林野庁等の公表情報をもとに作成。