技能実習制度の溶接に関するご説明ページ
Welding
金属部品や構造物の接合を手がける事業者の中には、外国人技能実習生の受け入れを検討している方もいると思います。
技能実習制度には、「その他」に分類される職種の一つとして「溶接」があります。作業区分は次の2つです。
・手溶接
・半自動溶接
この記事では、技能実習の「溶接」について、どんな事業者が対象になるのか、実習生に任せられる仕事内容、受け入れ時の条件や注意点を、初心者にもわかりやすく解説します。
なお、技能実習制度に関するルールは今後も見直される可能性があります。本記事は2026年時点の情報をもとに作成していますので、実際の受け入れにあたっては、必ず監理団体や外国人技能実習機構などの最新情報をご確認ください。
溶接は、金属を熱で溶かして接合する仕事です。
手溶接は、被覆アーク溶接棒を使い、溶接工が手作業で溶接棒を操作しながら接合する方式です。半自動溶接は、ワイヤーが自動的に送り出される機械を使い、手溶接よりも効率的に作業を進められる方式です。
建設現場の鉄骨、橋梁、船舶、機械部品など、金属同士を接合する場面であれば、業種を問わず必要とされる技術です。技能実習制度上、機械・金属関係の「鉄工」や「工場板金」でも溶接作業が含まれることがありますが、「溶接」という独立した職種は、溶接そのものを専門に扱う事業者向けに設けられています。
主な仕事内容は次のとおりです。
・図面の読解、溶接箇所の確認
・母材の準備(開先加工、清掃等)
・溶接機の設定(電流、電圧等)
・溶接作業(手溶接または半自動溶接)
・溶接後の検査(外観検査、非破壊検査の補助等)
・スラグ除去、仕上げ
第1号技能実習ではまず基本的な溶接姿勢(下向き)を習得し、第2号、第3号と進むにつれて、横向き、上向きなど、より難しい溶接姿勢へと技能の幅を広げていくのが、この職種の特徴です。
実習生には、最初から複雑な姿勢での溶接を任せるのではなく、下向き姿勢での基本的な溶接から段階的に技能を積み上げてもらう形が基本です。溶接の技能実習では、アーク溶接の特別教育の受講が必須とされています。
溶接の現場では、次のようなリスクに特に注意が必要です。
・アーク光による目の損傷(電気性眼炎)
・溶接ヒューム(金属蒸気)の吸入
・火花・スパッタによるやけど、火災
・感電
・不良な換気による酸欠(密閉空間での作業時)
アーク光は非常に強い紫外線を含むため、遮光機能のある保護面や保護メガネの着用が欠かせません。実習生には、母国語資料等を用いて、なぜこれらの保護具が必要なのかを含めて具体的に伝えることが重要です。
技能実習責任者:実習計画の管理、監理団体との連絡、法令遵守の確認を行う人
技能実習指導員:溶接の実務経験を持ち、直接指導する人
生活指導員:住居・生活面のサポートを担当する人
技能実習生にも労働基準法が適用されます。受注状況や工期によって作業量が変動しやすいため、労働時間・休憩・休日の記録管理を徹底する必要があります。
受け入れ可能人数は、常勤職員数、団体監理型/企業単独型の別、優良要件の充足状況によって変わります。監理団体に自社の状況を伝えたうえで確認してください。
溶接職種にも制度上は第3号技能実習(4〜5年目)が設けられています。ただし2027年4月1日に技能実習制度が育成就労制度へ切り替わることが決まっているため、これから新規に受け入れる場合、3号に到達する前に制度が変わる可能性が高い点に注意が必要です。
Q. 手溶接と半自動溶接、両方経験させる必要がありますか?
自社が実際に扱う方式に応じて計画すれば問題ありません。
Q. 溶接作業は誰でもできますか?
できません。アーク溶接の特別教育の修了が必須です。実習生の受講状況を必ず確認してください。
Q. 溶接姿勢はどのように習得していきますか?
第1号では基本的な下向き姿勢から始め、第2号、第3号に進むにつれて横向き、上向きなど、より難しい姿勢へと段階的に習得していきます。
技能実習の溶接は、手溶接と半自動溶接という2つの方式に分かれる職種です。アーク光やヒュームなど、溶接特有のリスクを想定した安全教育と、基本姿勢から段階的に技能を積み上げる実習計画が重要です。
参考情報:外国人技能実習機構、厚生労働省、出入国在留管理庁等の公表情報をもとに作成。