技能実習制度の鉄道車両整備に関するご説明ページ
Train maintenance
鉄道車両の点検・整備を行っている事業者の中には、外国人技能実習生の受け入れを検討している方もいると思います。技能実習制度には、「その他」に分類される職種の一つとして「鉄道車両整備」があります。作業区分は次の2つです。
・走行装置検修・解ぎ装
・空気装置検修・解ぎ装
この記事では、技能実習の「鉄道車両整備」について、どんな事業者が対象になるのか、実習生に任せられる仕事内容、受け入れ時の条件や注意点を、初心者にもわかりやすく解説します。
なお、技能実習制度に関するルールは今後も見直される可能性があります。本記事は2026年時点の情報をもとに作成していますので、実際の受け入れにあたっては、必ず監理団体や外国人技能実習機構などの最新情報をご確認ください。
鉄道車両整備は、車両を分解・点検し、部品を修理・組み立て直す「検修・解ぎ装」という工程を、対象とする装置ごとに2つに分けています。
走行装置検修・解ぎ装は、台車、車輪、軸受など、車両を走らせるための装置を分解点検し、摩耗した部品の交換や組み立てを行う工程です。空気装置検修・解ぎ装は、ブレーキシステムなど、圧縮空気を利用する装置を分解点検し、整備する工程です。
先ほど紹介した鉄道施設保守整備が「線路」を対象にするのに対し、鉄道車両整備は「車両そのもの」を対象にする点が異なります。同じ鉄道関連でも、扱う対象がまったく違う職種です。
主な仕事内容は次のとおりです。
・車両の受け入れ、状態確認
・対象装置(走行装置または空気装置)の分解
・部品の点検、摩耗・損傷の確認
・部品の清掃、修理、交換
・組み立て(解ぎ装)
・動作確認、検査記録の作成
実習生には、最初から車両の分解や重要部品の判断を任せるのではなく、清掃や部品の運搬といった補助的な作業から少しずつ経験を積んでもらう形が基本です。
鉄道車両の安全性は、日々の整備の精度に支えられています。そのため、単に手順通りに作業すればよい仕事ではなく、部品の状態を正確に見極める観察力を、時間をかけて身につけていく必要がある仕事です。
鉄道車両整備の現場では、次のようなリスクに特に注意が必要です。
・車両をジャッキアップした状態での作業中の落下事故
・重量部品(台車、車輪等)の運搬による腰痛・打撲
・空気装置整備時の圧縮空気による負傷
・工具の取り扱いによる切創・打撲
車両を持ち上げた状態での作業は、支持が不十分だと重大な事故につながります。実習生には、母国語資料等を用いてジャッキ・リフトの安全な使用方法と、圧縮空気を扱う際の注意点を具体的に伝えることが重要です。
技能実習責任者:実習計画の管理、監理団体との連絡、法令遵守の確認を行う人
技能実習指導員:鉄道車両整備の実務経験を持ち、直接指導する人
生活指導員:住居・生活面のサポートを担当する人
技能実習生にも労働基準法が適用されます。車両の検査スケジュールに合わせて作業が組まれることが多いため、労働時間・休憩・休日の記録管理を徹底する必要があります。
受け入れ可能人数は、常勤職員数、団体監理型/企業単独型の別、優良要件の充足状況によって変わります。監理団体に自社の状況を伝えたうえで確認してください。
鉄道車両整備職種にも制度上は第3号技能実習(4〜5年目)が設けられています。ただし2027年4月1日に技能実習制度が育成就労制度へ切り替わることが決まっているため、これから新規に受け入れる場合、3号に到達する前に制度が変わる可能性が高い点に注意が必要です。
Q. 走行装置と空気装置、両方経験させる必要がありますか?
自社が実際に扱う装置に応じて計画すれば問題ありません。
Q. 鉄道施設保守整備とは何が違いますか?
鉄道施設保守整備は線路(軌道)を対象とし、鉄道車両整備は車両そのものを対象とします。扱う対象が異なるため、技能実習では別の職種として扱われます。
Q. これから受け入れても第3号まで進められますか?
制度上は可能ですが、2027年4月の育成就労制度への切り替えにより、新規受け入れの場合は実質的に難しい可能性が高いです。
技能実習の鉄道車両整備は、走行装置・空気装置を分解点検し、鉄道車両の安全性を支える仕事です。線路を対象とする鉄道施設保守整備とは異なり、車両そのものの整備技術が中心になります。
参考情報:外国人技能実習機構、厚生労働省、出入国在留管理庁等の公表情報をもとに作成。