技能実習制度の耕種農業に関するご説明ページ
Regarding the Acceptance of Trainees for Cultivation Farming

外国人技能実習で農業分野の受け入れを考えるとき、まず確認したいのが「自分の農業はどの作業に当てはまるのか」という点です。
耕種農業とは、田畑やハウス、果樹園などで、野菜・果物・穀物・花などを育てる農業のことです。技能実習制度では、耕種農業は大きく次の3つの作業に分かれています。
・施設園芸
・畑作・野菜
・果樹
たとえば、ビニールハウスでトマトやいちごを育てている農家さんなら「施設園芸」、露地でキャベツや大根を育てている農家さんなら「畑作・野菜」、りんご・なし・ぶどう・みかんなどを育てている農家さんなら「果樹」に当てはまります。
この記事では、これから耕種農業で技能実習生の受け入れを検討している方向けに、3つの作業の違い、実習生に任せられる仕事内容、受け入れ時の注意点をわかりやすく解説します。
まず押さえておきたいのは、技能実習制度が2027年4月1日から「育成就労制度」へ切り替わる予定であることです。
ただし、すでに技能実習で受け入れている方や、施行日前に技能実習計画の認定・申請を進めている場合には、経過措置の対象になるケースがあります。
そのため、今から耕種農業で受け入れを検討する場合は、次の2つを分けて考える必要があります。
・現行の技能実習制度で受け入れるのか
・2027年4月以降の育成就労制度を見据えて準備するのか
特に2026年以降は、監理団体側も育成就労制度に向けた準備が必要になります。今付き合っている監理団体、またはこれから相談する監理団体が、育成就労制度にどう対応するのかは早めに確認しておきましょう。

耕種農業の技能実習は、主に次の3つに分かれます。
施設園芸は、ビニールハウスやガラス温室などの施設内で、野菜・花・苗などを育てる作業です。
代表的な作物には、トマト、いちご、きゅうり、なす、ピーマン、花き類などがあります。
施設園芸の特徴は、天候の影響を受けにくく、年間を通じて作業を組みやすいことです。収穫や出荷調製の時期が長く続く作物も多いため、実習生に安定して仕事を教えやすい分野といえます。
主な仕事内容は、次のような作業です。
・種まき、育苗
・苗の植え付け
・水やり、肥料管理
・誘引、整枝、摘葉、摘果
・受粉作業
・収穫
・選別、洗浄、袋詰め、箱詰め
・ハウス内の清掃や資材整理
経営者側が気をつけたいのは、夏場の暑さ対策です。ハウス内は外気温より高くなりやすく、熱中症のリスクがあります。休憩時間、水分補給、換気、遮光、作業時間の調整などは、実習計画とは別に現場運用としてしっかり整えておく必要があります。

畑作・野菜は、屋外の畑で野菜や畑作物を育てる作業です。
代表的な作物には、キャベツ、大根、白菜、玉ねぎ、じゃがいも、にんじん、ねぎ、枝豆、小麦、大豆などがあります。
畑作・野菜の特徴は、季節や天候によって作業量が大きく変わることです。植え付けや収穫の時期は忙しくなりますが、雨の日や冬場には作業が少なくなることもあります。
主な仕事内容は、次のような作業です。
・畑の準備
・耕うん、畝立て、施肥
・種まき、苗の植え付け
・除草、中耕、追肥
・病害虫防除の補助
・収穫
・土落とし、洗浄、選別、包装
・出荷準備
・農機具や作業場の清掃、整理
畑作・野菜で受け入れる場合は、「雨の日に何をしてもらうか」「冬場の作業をどう確保するか」を事前に考えておくことが大切です。
たとえば、出荷調製、資材整理、農機具の点検、作業場の清掃などを計画に組み込んでおくと、天候に左右されても実習を進めやすくなります。
ただし、実習生に任せる仕事は、あくまで認定された技能実習計画に沿った内容でなければなりません。単なる雑用や、農業と関係のない作業ばかりにならないよう注意が必要です。

果樹は、果樹園で果物を育てる作業です。
代表的な作物には、りんご、なし、ぶどう、もも、みかん、かき、さくらんぼなどがあります。
果樹の特徴は、1年を通じて作業の流れがはっきりしていることです。剪定、受粉、摘果、袋掛け、収穫、選別など、作業ごとの意味を理解しながら技術を覚えていく必要があります。
主な仕事内容は、次のような作業です。
・剪定の補助
・摘蕾、摘花、摘果
・受粉作業
・袋掛け、除袋
・草刈り、園地管理
・収穫
・選別、箱詰め、出荷準備
・防鳥網や支柱などの管理
果樹で特に注意したいのは、脚立や高所作業です。収穫や袋掛けなどで脚立を使う場面が多く、転落事故のリスクがあります。
作業を教えるときは、「見ればわかるだろう」ではなく、母国語資料や写真、動画なども使いながら、安全な登り方、置き方、荷物の持ち方、作業中の姿勢まで丁寧に伝えることが大切です。
耕種農業では、施設園芸・畑作野菜・果樹のどれで受け入れるかを、技能実習計画の段階で決めます。
ここで大切なのは、自社の「中心作業」に合わせて選ぶことです。
たとえば、ハウス栽培が中心で、一部だけ露地野菜も作っている場合は、基本的には施設園芸で考えることになります。反対に、露地野菜が中心で、ハウスは苗づくりや一部作物だけという場合は、畑作・野菜の方が合う可能性があります。
認定された実習計画と違う作業を、あとから自由に増やしたり、別の作業へ実質的に切り替えたりすることはできません。
「今どの作物が多いか」だけでなく、「今後3年から5年でどの作物を中心にしていくのか」まで考えて選ぶことが重要です。
技能実習では、実習生に任せる仕事の割合にもルールがあります。
基本的な考え方は次のとおりです。
・必須業務は全体の2分の1以上
・関連業務は全体の2分の1以下
・周辺業務は全体の3分の1以下
・安全衛生業務は各業務の10%以上
簡単にいうと、実習生にはその作業の中心となる農作業をしっかり経験してもらう必要があります。
たとえば施設園芸なら、栽培管理や収穫、出荷調製などが中心です。畑作・野菜なら、畑の準備、播種、栽培管理、収穫、出荷調製などが中心です。果樹なら、剪定補助、摘果、袋掛け、収穫、選別などが中心になります。
一方で、運搬、梱包、作業場の清掃、農機具の点検などは、必要な作業ではありますが、そればかりになってはいけません。
「実習」として認められるためには、技能を段階的に学べる計画になっていることが大切です。
耕種農業で技能実習生を受け入れるには、農家や農業法人側にも一定の体制が必要です主に必要になるのは、次の3つの役割です。
技能実習全体を管理する人です。実習計画の進み具合、監理団体との連携、法令遵守などを確認します。
実習生に直接仕事を教える人です。農作業の経験があり、実習生に作業手順や安全面を指導できる人が必要です。
住まい、生活ルール、通院、買い物、地域での生活などをサポートする人です。農作業だけでなく、生活面の支援も受け入れ側の大切な役割です。
技能実習生は、日本人従業員と同じく労働者として扱われます。最低賃金、労働時間、休日、残業代、安全衛生など、労働関係法令を守ることが前提です。
耕種農業は、条件を満たせば第3号技能実習まで進めることができる職種です。
第1号は1年目、第2号は2〜3年目、第3号は4〜5年目にあたります。つまり、うまく継続できれば最長5年間の受け入れが可能です。
ただし、第3号まで進めるには、実習生本人の試験合格だけでなく、受け入れ側や監理団体にも要件があります。
特に確認したいのは、依頼する監理団体が「一般監理事業」の許可を持っているかどうかです。特定監理事業のみの監理団体では、原則として第3号まで対応できません。
長期的な戦力として育てたい場合は、契約前に必ず確認しておきましょう。
技能実習生を何人まで受け入れられるかは、常勤職員数や受け入れ方式、優良要件の有無によって変わります。
団体監理型の場合、常勤職員数に応じて基本人数枠が定められています。たとえば、常勤職員数が30人以下の事業所では、基本人数枠は3人です。
ここでいう常勤職員数には、技能実習生は含めません。
また、第2号、第3号へ移行すると人数の考え方が変わります。さらに、優良な実習実施者・優良な監理団体に該当するかどうかでも枠が変わります。
そのため、実際に何人受け入れられるかは、監理団体に自社の常勤職員数と受け入れ計画を伝えたうえで確認するのが安全です。

中心になっている作業で判断します。ハウス栽培が中心なら施設園芸、露地野菜が中心なら畑作・野菜で考えるのが基本です。売上、作業時間、年間の業務量を見て、実態に合った作業を選びましょう。
関連業務として認められる範囲であれば可能な場合があります。ただし、施設園芸として受け入れているのに、実態として露地野菜の作業が中心になってしまうのは避けるべきです。実習計画との整合性を監理団体に確認してください。
出荷調製、資材整理、作業場の清掃、農機具の点検、次作の準備など、農業に関連する作業を計画に入れておくことが大切です。ただし、農業と関係のない作業を中心にすることはできません。
農作業や施設管理に必要な範囲で、付随的に行う場合は認められる可能性があります。ただし、除雪そのものを主な仕事にすることはできません。地域事情もあるため、必ず監理団体に確認してください。
第2号や第3号へ移行できない可能性があります。試験直前だけ対策するのではなく、日々の作業の中で、作業名、道具の名前、安全確認の手順などを少しずつ覚えられるようにしておくことが大切です。
耕種農業の技能実習を良好に修了した場合、特定技能「農業」への移行を検討できます。長く働いてもらいたい場合は、技能実習の段階から、特定技能への移行も見据えて育成していくとよいでしょう。

耕種農業の技能実習は、施設園芸・畑作野菜・果樹の3つに分かれています。
施設園芸は、ハウスや温室で野菜・花などを育てる作業です。年間を通じて作業を組みやすく、通年雇用に向いています。
畑作・野菜は、屋外の畑で野菜や畑作物を育てる作業です。天候や季節の影響を受けやすいため、雨の日や冬場の作業計画が重要です。
果樹は、果樹園で果物を育てる作業です。剪定、摘果、袋掛け、収穫など、技術を少しずつ覚えていく作業が多く、脚立作業の安全教育も欠かせません。
受け入れで特に大切なのは、次の3つです。
・自社の中心作業に合った区分を選ぶこと
・必須業務、関連業務、周辺業務のバランスを守ること
・3号まで考えるなら、一般監理事業に対応した監理団体を選ぶこと
2027年4月からは育成就労制度への切り替えが予定されています。これから受け入れを検討する農家さんは、現行の技能実習制度だけでなく、育成就労制度への移行も見据えて、早めに監理団体へ相談しておきましょう。
参考情報:外国人技能実習機構、厚生労働省、JITCO、出入国在留管理庁の公表情報をもとに作成。