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技能実習制度 漁船漁業

About Accepting Trainees for Fishing Boat Fisheries

事務局長:安松大輔

執筆者:事務局長:安松大輔

人材紹介会社の社長を経験後、外国人人材の採用を支援する企業で勤務する、その後アジアネットワーク協同組合のに入り、事務局長に選任される、人材不足で困っている企業様のと日本で働きたいと思う外国人人材の懸け橋となれるように日々尽力している。さらに業界の情報の不透明さに疑問を感じ、アジアネットワーク協同組合では双方が不安にならない仕組みをつくるとし、WEBやSNSで外国人人材の採用に関して情報を届けることを重要視している。 目次
目次
  1. >1・|漁船漁業とは?養殖業とは何が違う?
  2. >2・|まず確認したいのは「どの漁法で受け入れるか」
  3. >3・|実習生に任せられる主な仕事内容
  4. >4・|漁船漁業で一番大切なのは安全教育
  5. >5・|船と監理団体が連絡できる体制が必要
  6. >6・|労働時間・休日・休憩は「漁業だから仕方ない」で済ませない
  7. >7・|受け入れ人数は「漁船1隻あたり」で考える
  8. >8・|監理団体にも漁船漁業ならではの条件がある
  9. >9・|第3号まで進める作業か確認する
  10. >10・|技能実習から特定技能「漁業」への移行
  11. >11・|2027年4月からの制度変更にも注意
  12. >12・|よくある質問
  13. >13・|まとめ

技能実習「漁船漁業」とは?船に乗る仕事だから
こそ受け入れ前に確認すべきこと【2026年最新】

漁船漁業で外国人技能実習生の受け入れを考えるとき、最初に理解しておきたいことがあります。

それは、漁船漁業は、ほかの職種よりも「働く場所」が特殊だということです。

工場や農場であれば、監理団体や受け入れ企業が実習の様子を確認しやすいですが、漁船漁業では実習生が船に乗り、海上で作業します。

そのため、仕事内容だけでなく、通信手段、安全管理、乗下船の記録、労働時間や休日の管理、漁船1隻あたりの受け入れ人数まで、受け入れ前に確認すべきことが多くあります。

この記事では、技能実習の「漁船漁業」について、どんな仕事なのか、どの漁業が対象になるのか、実習生に任せられる作業、受け入れ時の注意点を初心者にもわかりやすく解説します。

|漁船漁業とは?養殖業とは何が違う?

漁船漁業とは、漁船に乗り組んで魚介類を獲る仕事です。

魚を育てて出荷する養殖業とは違い、漁船漁業では、海に出て、漁具を使い、魚やいか、かに、えびなどを漁獲します。

代表的な作業には、次のようなものがあります。

・かつお一本釣り漁業
・延縄漁業
・いか釣り漁業
・まき網漁業
・ひき網漁業
・刺し網漁業
・定置網漁業
・かに・えびかご漁業
・棒受網漁業

同じ漁船漁業でも、漁法によって作業は大きく変わります。

かつお一本釣りのように魚を釣り上げる作業もあれば、網を使う漁業、かごを使う漁業、定置網の管理を中心にする漁業もあります。

そのため、「漁船漁業なら全部同じ」と考えるのではなく、自社の漁法に合った実習計画を作ることが大切です。

|まず確認したいのは「どの漁法で受け入れるか」

漁船漁業では、受け入れ時にどの作業で技能実習を行うかを確認します。

ここをあいまいにしたまま進めると、あとから「実際の作業内容と実習計画が合わない」という問題が起こる可能性があります。

たとえば、まき網漁業で受け入れる場合は、網を使った漁労作業が中心になります。延縄漁業で受け入れる場合は、縄や針を使った漁労作業が中心になります。定置網漁業であれば、定置網の管理や漁獲物の水揚げに関わる作業が中心になります。

漁業は地域や船団によって作業のやり方が違います。

そのため、受け入れ前に次の点を整理しておくと、監理団体との相談がスムーズです。

・どの漁法で操業しているか
・どの船に乗り組む予定か
・日帰り操業か、長期航海があるか
・船上でどの作業を担当するか
・水揚げ後の作業がどこまで含まれるか
・監理団体と船との連絡手段をどう確保するか

漁船漁業は、机上の制度説明だけでなく、実際の操業形態に合わせて判断することが重要です。

|実習生に任せられる主な仕事内容

漁船漁業の技能実習では、漁船に乗り組み、漁労作業を学んでいきます。

主な仕事内容は次のとおりです。

・漁船への乗り組み
・出港前の準備
・漁具の準備
・網、縄、かごなどの投入
・網、縄、かごなどの揚収
・漁獲物の取り扱い
・魚介類の選別
・船上での保管作業
・水揚げ補助
・漁具の修繕、整理
・船内や作業場所の清掃

漁船漁業では、単に魚を獲る作業だけでなく、出港前の準備、漁具の管理、漁獲物の扱い、水揚げ後の片づけまで含めて仕事が成り立っています。

特に初心者の実習生には、最初から危険な作業や判断が必要な作業を任せるのではなく、船上での動き方、合図の意味、足場の確認、漁具の扱い方から少しずつ教えることが大切です。

|漁船漁業で一番大切なのは安全教育

漁船漁業は、海上で行う仕事です。

そのため、他の職種以上に安全教育が重要です。

特に注意したいのは、次のようなリスクです。

・海への転落
・甲板での転倒
・ロープや網への巻き込まれ
・漁具によるけが
・機械への巻き込まれ
・悪天候時の作業
・夜間や早朝の視界不良
・船酔い、体調不良
・長時間作業による疲労

船の上では、足元が濡れていたり、揺れたり、作業スペースが狭かったりします。

陸上では小さなミスで済むことでも、船上では大きな事故につながることがあります。

そのため、実習生には「危ないから気をつけて」だけでは不十分です。

救命胴衣の着用、船上で走らないこと、ロープをまたがないこと、巻き上げ機の近くに不用意に立たないこと、合図がわからないときは動かないことなど、具体的なルールとして教える必要があります。

日本語だけで説明しても伝わりにくい場合は、母国語の資料、写真、動画、実演を使って繰り返し教育しましょう。

|船と監理団体が連絡できる体制が必要

漁船漁業の技能実習では、通信手段の確保が重要です。

団体監理型で受け入れる場合、実習生が乗り組む漁船と監理団体との間で、無線などの通信手段を確保する必要があります。

これは、実習生が海上で働くため、監理団体が実習状況を確認しづらいからです。

通信手段が不十分だと、事故やトラブルが起きたときに対応が遅れる可能性があります。

受け入れ前には、次の点を確認しておきましょう。

・船と陸上側が連絡できるか
・監理団体と船が連絡できるか
・複数の船で操業する場合、それぞれの船と連絡できるか
・緊急時の連絡先が実習生にも伝わっているか
・実習生が困ったときに相談できる手段があるか

特に船団で操業する場合や、運搬船・探索船など複数の船が関わる場合は、どの船に実習生が乗るのか、どの船と連絡を取るのかを明確にしておくことが大切です。

|労働時間・休日・休憩は「漁業だから仕方ない」で済ませない

漁船漁業は、天候、漁場、潮、漁獲状況によって作業時間が変わりやすい仕事です。

早朝に出港することもあれば、夜間作業が発生することもあります。日帰り操業と長期航海でも、働き方は大きく変わります。

しかし、技能実習は単なる労働力確保の制度ではありません。技能実習生は、実習実施者と雇用契約を結び、技能実習計画に基づいて技能を修得する立場です。そのため、受け入れ側には、技能指導とあわせて、賃金・労働時間・安全衛生などを適切に管理する責任があります。

「漁業だから時間管理はあいまいでいい」
「昔からこの働き方だから問題ない」
という考え方は避けるべきです。

漁船漁業では、労働時間、休日、休憩などの待遇について、漁船漁業に関する協議会で協議が調った措置に沿った対応が求められます。

そのため、受け入れ前に次の点を確認しておきましょう。

・出港時間と帰港時間
・実作業時間
・休憩時間
・休日の取り方
・長期航海時の扱い
・残業や深夜作業の管理
・記録の残し方

忙しい時期ほど、記録を残すことが大切です。

労働時間や休日の記録があいまいだと、あとからトラブルになりやすくなります。

|受け入れ人数は「漁船1隻あたり」で考える

漁船漁業では、受け入れ人数にも注意が必要です。

一般的な職種のように、事業所全体の常勤職員数だけで考えるのではなく、技能実習生が乗り組む漁船1隻ごとに人数上限が定められています。

原則として、技能実習生の人数は、その漁船に乗り組む日本人などの乗組員数を超えることはできません。

また、技能実習の区分や優良要件の有無によって、1隻あたりの人数上限が変わります。

通常の場合は、第1号で2人、第2号で4人までが基本です。優良要件を満たす場合などは、第1号4人、第2号8人、第3号12人まで認められるケースがあります。

ただし、実際の受け入れ人数は、船の規模、乗組員数、操業形態、監理団体の対応状況によって変わります。

「何人まで入れられるか」だけで判断するのではなく、「安全に指導できる人数か」「船上で生活・作業できる体制があるか」を確認することが大切です。

|監理団体にも漁船漁業ならではの条件がある

漁船漁業は、監理団体側にも特殊な対応が求められる職種です。

船上で実習が行われるため、監理団体がいつでも現場に行って確認できるわけではありません。

そのため、無線などの通信手段を使い、技能実習指導員から実習状況の報告を受ける仕組みが必要になります。

また、団体監理型の漁船漁業では、監理団体の法人類型にも注意が必要です。

受け入れを検討するときは、監理団体に次の点を確認しましょう。

・漁船漁業の監理実績があるか
・漁船との通信確認体制があるか
・乗下船記録や報告書の運用を理解しているか
・漁業協同組合として対応できる体制があるか
・第3号や特定技能への移行まで相談できるか

漁船漁業では、一般的な職種以上に、監理団体の経験が重要になります。

|第3号まで進める作業か確認する

漁船漁業は、作業によって第3号技能実習まで進めるかどうかが変わります。

OTITの移行対象職種一覧では、漁船漁業のうち、棒受網漁業には第3号に関する注意が付いています。

一方で、△のない職種・作業は3号まで実習可能とされています。

そのため、以前のように「漁船漁業の多くは第3号に進めない」とまとめてしまうのは避けた方が安全です。

受け入れ前には、必ず次の点を確認しましょう。

・自社の漁法がどの作業に当たるか
・その作業が第3号まで進めるか
・監理団体が一般監理事業に対応しているか
・実習生本人の試験対策をどう進めるか
・特定技能への移行も考えるか

第3号まで考える場合は、実習生本人の技能評価だけでなく、受け入れ側や監理団体の要件も関係します。

長く働いてもらいたい場合は、最初から第3号と特定技能の両方を見据えて計画を立てましょう。

|技能実習から特定技能「漁業」への移行

漁船漁業で技能実習を良好に修了した場合、特定技能「漁業」への移行を検討できます。

特定技能へ移行できれば、技能実習よりも長く働いてもらえる可能性があります。

漁船漁業は、船上での動き方、漁具の扱い、漁場ごとの作業、船員同士の連携など、覚えることが多い仕事です。

そのため、技能実習で基礎を身につけた人材に、特定技能として引き続き働いてもらえることは、受け入れ側にとって大きなメリットになります。

ただし、特定技能では、在留資格、業務範囲、支援体制、雇用条件など、技能実習とは別の確認が必要です。

技能実習だけで終わらせるのではなく、採用時点から特定技能への移行も視野に入れておくと、人材計画を立てやすくなります。

|2027年4月からの制度変更にも注意

技能実習制度は、2027年4月1日から育成就労制度へ切り替わる予定です。

ただし、施行日前に技能実習計画の認定や申請が進んでいる場合には、経過措置の対象になる可能性があります。

そのため、2026年以降に漁船漁業で受け入れを考える場合は、次の点を確認しておきましょう。

・現行の技能実習制度で受け入れるのか
・育成就労制度を見据えて準備するのか
・監理団体が制度変更に対応する予定か
・漁業分野の上乗せ基準に対応できるか
・特定技能への移行まで設計するか

育成就労制度では、漁業分野にも独自の基準が設けられる可能性があります。

制度開始前後は情報が更新されるため、外国人技能実習機構、出入国在留管理庁、厚生労働省、水産庁などの公式情報を確認しながら進めることが大切です。

|よくある質問

Q. 漁船漁業と養殖業は同じ漁業として扱えますか?

同じ漁業分野でも、漁船漁業と養殖業は仕事内容が違います。漁船漁業は漁船に乗って魚介類を獲る仕事、養殖業は魚・貝・海藻などを育てて出荷する仕事です。技能実習計画も別に考える必要があります。

Q. 漁船漁業ではどんな漁法が対象になりますか?

かつお一本釣り、延縄、いか釣り、まき網、ひき網、刺し網、定置網、かに・えびかご、棒受網などがあります。自社の操業形態がどの作業に当たるかを、監理団体と確認しましょう。

Q. どの漁船に乗せてもいいですか?

技能実習計画で想定している漁船や作業内容に沿う必要があります。複数の船で操業する場合は、どの船に乗り組むのか、通信手段や記録をどう管理するのかを明確にしておく必要があります。

Q. 漁船1隻に何人まで受け入れられますか?

漁船1隻あたりの人数上限があります。通常の場合は第1号2人、第2号4人が基本で、優良要件を満たす場合などは上限が広がるケースがあります。ただし、技能実習生以外の乗組員数を超えることはできません。

Q. 長期航海でも受け入れできますか?

可能な場合がありますが、通信手段、労働時間、休憩、休日、生活環境、安全管理、監理団体への報告体制を整える必要があります。日帰り操業より確認事項が多くなるため、事前準備が重要です。

Q. 第3号まで進めますか?

作業によって異なります。OTITの移行対象職種一覧では、棒受網漁業には第3号に関する注意が付いています。第3号まで考える場合は、自社の漁法が対象になるか、監理団体が一般監理事業に対応しているかを確認してください。

Q. 特定技能「漁業」へ移行できますか?

技能実習を良好に修了した場合、特定技能「漁業」への移行を検討できます。船上作業に慣れた人材に長く働いてもらうためにも、採用時点から特定技能への移行を見据えておくとよいでしょう。

|まとめ

技能実習の漁船漁業は、漁船に乗り組んで魚介類を獲る仕事です。

かつお一本釣り、延縄、いか釣り、まき網、ひき網、刺し網、定置網、かに・えびかご、棒受網など、漁法によって作業内容が変わります。

漁船漁業で受け入れるときに特に大切なのは、次の3つです。

・自社の漁法に合った実習計画を作ること
・船上作業に必要な安全教育と通信体制を整えること
・漁船1隻あたりの人数上限、乗下船記録、労働時間管理を確認すること

漁船漁業は、海上で行う仕事だからこそ、一般的な職種よりも管理体制が重要です。

「人手が足りないから受け入れる」のではなく、実習生が安全に働き、技能を学び、困ったときに相談できる体制を作ってから受け入れることが大切です。

2027年4月からは育成就労制度への切り替えも予定されています。これから受け入れを考える漁業者・漁業会社は、現行制度での受け入れだけでなく、制度変更後の対応や特定技能への移行も含めて、早めに監理団体へ相談しておきましょう。

参考情報:外国人技能実習機構、厚生労働省、出入国在留管理庁、水産庁等の公表情報をもとに作成。

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