技能実習制度の金属熱処理業に関するご説明ページ
Metal heat treatment business
「うちも技能実習生を受け入れたい」——金属の熱処理を手がける事業者様からそうした相談を受けることが増えています。ただ、金属熱処理業は他の機械・金属関係職種と比べて、受け入れ側に特有の条件がある職種です。
この記事では、いきなり作業内容の説明に入る前に、まず「自社が受け入れ対象になるかどうか」という入口の部分から解説します。
なお本記事は2026年時点の情報をもとにしています。技能実習制度は今後も見直される可能性があるため、実際の受け入れにあたっては監理団体や外国人技能実習機構の最新情報を必ず確認してください。
金属熱処理業の技能実習を受け入れるには、次のいずれかの条件を満たす必要があります。
つまり「金属加工の一工程として、たまに熱処理もやっている」という規模の事業者では、この職種での受け入れ自体が難しい可能性があります。まずここを確認しないと、実習計画そのものが成立しません。
金属熱処理は、金属材料を加熱・冷却することで、目に見えない内部組織を変化させ、硬さや強度、粘り強さなどの性質を調整する仕事です。
作業区分は次の3つに分かれています。
歯車のように「表面は硬く、中心部分には粘り強さを残したい」といった、部位ごとに異なる性質を持たせる製品も多く、目的に応じて処理方法を選ぶ専門知識が求められます。
対象事業者の条件をクリアした前提で、実習生に任せる作業は次のようになります。
熱処理の結果は、加熱してすぐには分からず、冷却・検査を終えて初めて判明します。同じ材料、同じ設定でも、季節による室温の違いなどでわずかに結果が変わることもあり、経験を積んだ人ほど「今日はこう調整する」という微調整ができるようになります。実習生には、まず決められた条件通りに正確に作業する力を身につけてもらい、そのうえで条件による違いを少しずつ理解してもらう、という進め方が現実的です。
金属熱処理の現場は、他の金属加工職種と比べても、特有のリスクがいくつかあります。
特に焼入れ油は、高温の金属を投入した際に発火するリスクがあり、油の管理・保管方法を徹底する必要があります。実習生には、母国語資料等を使って、なぜこの作業がこの手順でなければならないのかを、具体的に伝えることが重要です。
技能実習生を受け入れるには、次の3つの役割が必要です。
先述の「金属熱処理技能士(特級・1級)」の在籍要件は、この技能実習指導員の適格性にも関わってくる部分なので、あわせて確認しておく必要があります。
金属熱処理は、炉の稼働スケジュールや受注状況に作業量が左右される仕事です。技能実習生も労働基準法の適用を受ける労働者である以上、労働時間・休憩・休日の記録はきちんと残し、残業が発生した場合は割増賃金の支払いなど必要な手続きを行いましょう。
受け入れ可能な人数は、常勤職員数、監理団体の種類(団体監理型/企業単独型)、優良な実習実施者としての要件充足状況によって変わります。次を整理したうえで、監理団体に確認するのが確実です。
金属熱処理業にも制度上、第3号技能実習(4〜5年目)が設けられています。ただし2027年4月1日から育成就労制度への切り替えが決まっているため、これから新規に受け入れる場合、3号に到達する前に制度が変わる可能性が高い点は理解しておいてください。
長期的な受け入れを考える場合は、「5年間」を前提にするのではなく、育成就労制度への移行を見据えて、監理団体とスケジュールを相談することをおすすめします。
2027年4月1日の育成就労制度への切り替えに向けて、次の点を早めに確認しておきましょう。
制度の詳細は今後も省令等で順次決まっていくため、出入国在留管理庁や外国人技能実習機構の公式発表を継続してチェックしてください。
専業事業所でなくても受け入れられませんか?
専業でない場合は、金属熱処理専属の常勤職員10名以上・技能士1名以上の在籍という別の条件を満たす必要があります。どちらも満たさない場合、この職種での受け入れは難しくなります。
3つの作業区分をすべて経験させる必要がありますか?
自社が実際に扱う処理方法に応じて計画すれば問題ありません。
焼入れ油の管理はどこまで気を配ればいいですか?
高温金属投入時の発火リスクがあるため、油の温度管理、保管場所、消火設備の整備など、日常的な管理体制が欠かせません。
これから受け入れても5年間の実習は可能ですか?
制度上は可能ですが、2027年4月の制度切り替えにより、新規受け入れでは実質的に難しい可能性が高いです。監理団体に最新情報を確認してください。
金属熱処理業は、金属の内部組織そのものを変化させる、専門性の高い仕事です。他の機械・金属関係職種と大きく違うのは、受け入れ側の事業所要件そのものが厳しく定められているという点です。
受け入れを検討する際は、まず自社が対象事業者の条件を満たしているかを確認し、そのうえで次の3点を押さえてください。
技能実習制度は2027年4月に育成就労制度へ切り替わる予定であり、今後もルールが変わる可能性があります。本記事の内容だけで判断せず、監理団体や公的機関の最新情報を確認したうえで計画を立てることをおすすめします。
参考情報:外国人技能実習機構、厚生労働省、出入国在留管理庁等の公表情報をもとに作成。